『わっ』




『ここに座ると汚いから、あっちのベンチに』





ふと目が合ってあたしはドキッとする。





綺麗な顔立ちだなぁ……なんて考えてたと思う。





危機感なさすぎだな。





蛯原くんに促されたあたしは、ベンチに腰掛けた。






『あの、さっきも、今も……本当にありがとうございました』





あたしがそう言うと、蛯原くんは笑顔でこちらこそ、と言った。






『俺の方こそ早く気付けなくてすいません』





なんて優しい人なんだろう。





『すごく、助かりました。あたし1人じゃ何も出来なかったと思うし』