蛯原くんも一緒に降りてくれて。
それからのことはよく覚えてない。
けど、蛯原くんとの会話だけは覚えていた。
というか、忘れられなかったんだよ。
『大丈夫?』
駅のホームで力が抜けて座り込むあたしの前に立った蛯原くん。
『あ、ごめんなさい……』
『そりゃ、怖かったですよね。立てますか?』
あたしの目線に合わせるように、蛯原くんは屈んでくれた。
『え、えっと、』
力が抜けちゃって立てない、なんて言えない。
そんなことを考え、言葉を失っていると。
いきなり腕を引っ張られた。
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