そしたら、すごくニヤニヤした男の人があたしを見ていた。
『え……』
ちょっと待って。
き、気持ち悪……。
恐怖で体がすくんでしまう。
カバンで防ぐけど、満員電車だからあまり意味が無い。
その男の人から離れようともするけど、動けないので離れられない。
気持ち悪いし、怖くて声が出ないし。
『まもなく、〇〇駅〜』
もう、ここで降りよう。
全然知らないところだけど、嫌な気持ちになるよりマシ。
『……あの、やめてく』
『すいませーん!この人痴漢です』
やめてくれませんか、と言おうとした時、誰かに遮られた。

