耳元でつぶやくように言ったそれに、俺は照れそうになった。
いくら寝言でも、それは反則だ。
「ほんとマジ、勝てねぇな」
赤くなりそうな顔を隠しながら、部屋へ向かう。
ガチャッと鍵を開けると、俺たちの部屋と同じ造りの部屋。
電気を点け、近くのベッドに沙綾を下ろし、布団をかぶせて俺も腰掛け、しばらく寝顔を見つめる。
起きてる時はいろんな表情見せるくせに、寝てる時は可愛いなんて……それも反則だ。
「……俺の方が、きっと好きだよ」
沙綾が起きてないことを確認して、そう呟いてみる。
なんか俺、いろいろと……ヤバいな。
こんなこと言うキャラじゃないのに。

