両方の部屋の鍵をポケット入れ、俺は沙綾に近づいた。




「……普通は今寝ないだろ」





ポツリとそうつぶやく。





結構いいとこだったのに。





なんて、ちょっと後悔してみる。





沙綾が目を覚まさないように、ゆっくりと抱き起こす。




「よし、行くか」





落とさないようにおぶると、部屋の電気を消して外に出る。







「んん……はる、くん」




ビクッ





「なんだ、寝言かよ……」






起きたかと思った。




軽く驚きつつも、広い廊下を歩き出す。







「大好き、だよ」





「っ……」