「楠木、どっちのベッドに荷物置く?」 そんなあたしをよそに、蛯原くんは部屋に入っていく。 「ど、どっちでもいいよ!蛯原くんが決めて!」 ていうか! “ベッド”なんていう単語を発さないで! いや別に、やましいことを考えてるわけじゃ無いけど。 ただ、もし、そんな場合になってしまったら……なんて。 絶対心臓バクバクする。 ていうか、今も心臓バクバクだし。 「んじゃ、楠木はあっち側な」 蛯原くんが指差したのは扉から離れた方。