蛯原くんにあたしだと、バレなかったのだ。




「こちらこそ初めまして、木南那智です」





それぞれの自己紹介が終わり、あたしたちは会食を始める。





そして、蛯原くんのお父さん、あたしのお兄ちゃんが席を外し、あたしと蛯原くんの2人になった。






「……」




「……」





気まずいっ!!





な、何か話さないとっ!





「あの……蛯原さん」




「……何ですか」





淡々と料理を口に運んでいた蛯原くんだけど、あたしが声をかけるとフォークとナイフを置いてあたしのほうを見てくれた。