「え?」 あたしは泣きそうになったまま、顔を勢いよく上げた。 今確かに、蛯原遥って聞こえた。 でも、目の前にいるのは蛯原くんとは似ても似つかない人。 黒縁メガネで、髪の毛も少し長めで……。 「ん?蛯原遥です。よろしくお願いします」 彼はニッコリ笑って、髪の毛に触れた。 そして、髪の毛を梳くような感じで、ウィッグを取った。 そこには、さっきまで話していた蛯原くんの姿。 「な、なんで……ここに」 突然の出来事に頭が混乱して、上手く話せない。