あたしが思ってたより前に、あたしのことを知ってくれてた。 ……もう、これ以上ない幸せだよ。 涙が出そうになった。 だけど、とあることを思い出すと、涙は引っ込んでしまった。 「で、でも!入学初日、あたしのこと誰って言ったよね……?」 ちょっと、いや結構ショックだったことを覚えてる。 「それは……寝ぼけてて頭が働いてなかったから」 蛯原くんは少し申し訳なさそうに言う。 「その少し前、俺寝てたからさ。楠木だって気づかなかった」 確かに、机にうつ伏せになってた……。