本当は、楠木よりも先に、楠木を気になってたんだ、なんて、綺麗な笑みで言うもんだから……胸が高鳴らないわけがない。
「友達と楽しそうに笑ってる表情に惹かれてさ。多分、一目惚れ」
でも、何も知らなかったから話しかけることもせずそのままだった、と今度は苦笑気味にそう言った。
「う、うそ……」
あたしは呆然としてしまった。
あたしが好きになるより前に、あたしのこと気になってたなんて。
「嘘じゃないから、伝えてるんだよ」
はっきりとした言葉にまた涙が出そうになる。
高校生になって再会する前に、蛯原くんもあたしに気づいてくれてた。

