少し気まずそうに言う蛯原くんに、あたしは頷いてみせる。
「それになんで、こんな風にあたしと話してくれるんですか?」
学校では目を逸らして話してくれなかったのに。
「どうしてって……楽しかったから、かな」
「楽しい?」
「ん、そう。それに今話してるのは別に今まで通りだよ」
ただ、すぐには楠木が話しにくいかなと思って、なんて微笑みながらそう言ってくれる。
……なんであなたはそんなに優しいの。
あんなことをしたのに、どうしてそんな風に接してくれるの。
気がつくと、涙がこぼれそうになっていた。
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