「わ、綺麗」 庭は色とりどりの花が咲き乱れ、この料亭にピッタリだった。 あそこのベンチにでも座って過ごそうかな。 少し遠いけど日当たりのいいベンチを見つけ、そこに腰掛けて庭の風景を眺める。 「これから、どうしたらいいんだろ……」 どうしたら、蛯原くんへの気持ちを忘れて他の人と過ごせるだろうか。 ていうか、今すぐ謝りたい。 本当にごめんなさい、って。 あたしのワガママに巻き込んでしまってごめんなさいって。 でも、謝る機会すら、神様は与えてくれなかった。