……どちら様ですか。




そこには、あたしの知らない顔と名前。





少し年上のように見えた。





「それじゃ、もう先方はお待ちのようだから……入りましょうか」





豪華そうなふすまを前に、お母さんが呼びかける。





中から返事が来ると、お母さんはふすまを丁寧に開けた。





失礼します、と言って、中に入る。






「本日は、楠木家とのお見合いを引き受けてくださり、誠にありがとうございます」





「こちらこそ、このようなご縁をいただきまして、誠にありがとうございます」





互いの挨拶が済むと、自分たちの座る場所へ向かう。