あたしは、お兄ちゃんに向かってそう言った。





“お兄ちゃん”を、あえて……“お兄さん”と置き換えて。





終わる前にバレてしまったよ。






「遥くん、どうした?」





お兄ちゃんが蛯原くんにそう問う。





「颯さん、楠木と話したいんで2人っきりに……」





あたしは、ふるふると首を横に振った。





「ごめん……今日はちょっともう無理かな。あと、沙綾じゃなくて那智な」






「……颯さんまで、嘘つかないで下さいよ」





蛯原くんは、はぁ、とため息をついた。







「本当のこと言えよ……楠木」





「……っ」