最初のお見合いのように、あたしにはお兄ちゃんが、蛯原くんにはお父さんが同席している。





「今日はお話があって、来ていただきました」





お兄ちゃんがそう告げた。





とうとう、言う時が来た。





ああ……緊張してきちゃったよ。





でも、もう……後悔はしていないから。





あたしは、合図のようにお兄ちゃんを見た。






「那智、2人でゆっくり話して」





行きましょう、と蛯原くんのお父さんに声を掛けるお兄ちゃん。





その2人が、部屋を出ていった。






「で、話って?」





2人きりになったからか、いつもの口調になる蛯原くん。