蛯原くんが見てなくてよかった。
“俺さ、君のことが好き……なんだけど”
好きって言ってくれた蛯原くん。
那智に言ってくれた言葉でも、あたしに言ってくれたみたいで……とても嬉しかった。
別れを告げて戻って来たとき、今度は泣いてしまって頭ぶつけちゃうかも、なんて思って、クスッと笑いが漏れた。
それくらい、大好きなんだ。
蛯原くんのことが。
今となっては良い思い出だけど、最初はあたし、名前さえ知られてなかったもん。
同じクラスで隣だったのにだよ!?
誰?ってきっぱりと言われちゃって。
それから必死に頑張ったんだ。

