「あっ、待って……!」
あたしが呼び止めると、蛯原くんは不思議そうに振り向いた。
「あの、へ、返事は……!」
告白の、返事はしなくてもいいのだろうか。
「今は返事、いらない」
今は、ってことはいつかはいるってことだよね。
じゃあ、会食の日、伝えよう。
今までのことと、自分の気持ちと。
「あのっ、じゃあ、会食の日!その日にお返事します」
あたしはそう伝えた。
その言葉に蛯原くんは頷いて帰って行った。
……あたしは、近づいていく別れの日に、胸が苦しくなるばかりだった。
蛯原くんと一緒にいれなくなるのは寂しいよ。

