……でも、この言葉は、あたしに向けてじゃないんだよ……ね。





この言葉は那智に向けて。





そこを勘違いしたらダメだ。





「じゃ、家まで送る」





蛯原くんはそう言うと、立ち上がった。





「え……」





家まで送るって、それはダメです……!





この前送ってもらった時に家バレちゃってるし。





「いや、大丈夫です!この後、駅の方で友達と待ち合わせしてるから」






心苦しいけど、バレないためにはそう言わなきゃだ。






「そっか、じゃ、ここでな」






蛯原くんは優しく微笑んで、帰ろうとする。