いや、大事なことなら教えてくれないか。 「……何でしょう」 努めて冷静に。 いつものあたしなんか出したらバレてしまう。 「……あのさ、俺」 ゆっくりと口を開く蛯原くん。 あたしは、次の言葉は何かとドキドキしながら待つ。 「俺さ、君のこと好き……なんだけど」 「……ぇっ!?」 小さく驚いた声をあたしは出した。 ま、まさか! そんなことは! 「……私のことが、ですか?」 そんなこと……ないよね? 「そう」 短く答える蛯原くんは、涼しい顔だ。