「それなら急ぐぞ。観覧車は出口の近くだけどここから少し離れてるしな」
「うんっ、ありがとう」
あたしたちは小走りで観覧車の方へ向かった。
「あ、結構空いてる」
並んでる人は少なく、今すぐにでも乗れそうだった。
「2名様ですね、こちらにどうぞ〜」
係の人があたしたちを促す。
蛯原くんが先に乗り、あたしに手を差し伸べてくれた。
「ん、楠木」
「あ、ありがと」
グイッと手を引かれてあたしは中へ入った。
なんか照れる……!
「では、行ってらっしゃ〜い」
係の人が笑顔で手を振ったのを見ていると、観覧車がゆっくり動き出した。

