仁は話し終えるとポロポロと静かに泣いていた。
「話させてごめんね。」
と呟くと、みのるはうつむいた。HP研究所でそんなことがあったなんてみのるは聞いたこともなかった。勿論、世間に出回っていないからと言えばそうなのだが……。想像もつかないような過去を聞かされ、みのるの目からは自然と涙がこぼれ落ちていた。それから、二人で静かに泣いていた。
***
いつの間にか外は暗くなっていた。どうやら眠っていたようだ。横で赤い目を瞑りながら眠っている仁を見ると、みのるはまた泣きそうになってしまう。目を手で乱暴にぐしぐしと拭くと、仁の体を静かに揺らした。
「仁くん起きて、夜だよ。」
仁はうーんと唸り声を上げてモソモソと起き上がった。髪を掻きあげ、まだ眠そうにあくびをしている仁をみのるはニコニコしながら見ていた。
(案外かわいいかも……。)
性格の良さそうなタレ目に綺麗な茶髪、背は高くて少しひょろっとしているけど時折見せる凛々しい顔は同年代の男の子を感じさせる。
「おはよう仁くん」
みのるの厳しそうな顔付きも緩み、月の光を受けて綺麗に光る髪の毛が外からの風でたなびき仁は思わず見惚れてしまう。ポケーっとしている仁にみのるは「大丈夫?」と声を掛けるが、仁にはそれも届いていないようだった。
──翌日
二人は休暇だったので、お互いについて話すことにした。最初に知ったのは、二人とも研究所で暮らしているということだった。家から研究所までが遠い人や、帰る場所が無い研究員のほとんどが研究所の部屋を借りていて、部屋代や生活費は全て『ハッピー・ライフ』が負担してくれている。みのるは、家から遠いため、大会後すぐに自室へ引越した。仁は元々、研究所が所有しているマンションで暮らしていたため、今は部屋を借りている。そして、偶然にも部屋が隣同士だった。二人は、「じゃあすぐ会えるね」なんていうリア充っぽい会話も冗談で言えるくらいに打ち解けることができた。
「そういえば!みのるさんって何歳?」
仁は昼食の『特製オムライス』を口に運びながら問いかけた。お昼も話そうという流れから、みのるが折角だから、と二人分作った昼食である。
「13歳、中二だよ。」
ていうかお行儀悪いよ!と食べながら問いかけてくる仁に注意する。仁は、ご飯粒を口の周りに付けたまま、
「俺も中二だよ。」
と笑った。昨日の暗い雰囲気とは打って変わって、楽しい話題にみのるもつられてフフッと笑った。
「話させてごめんね。」
と呟くと、みのるはうつむいた。HP研究所でそんなことがあったなんてみのるは聞いたこともなかった。勿論、世間に出回っていないからと言えばそうなのだが……。想像もつかないような過去を聞かされ、みのるの目からは自然と涙がこぼれ落ちていた。それから、二人で静かに泣いていた。
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いつの間にか外は暗くなっていた。どうやら眠っていたようだ。横で赤い目を瞑りながら眠っている仁を見ると、みのるはまた泣きそうになってしまう。目を手で乱暴にぐしぐしと拭くと、仁の体を静かに揺らした。
「仁くん起きて、夜だよ。」
仁はうーんと唸り声を上げてモソモソと起き上がった。髪を掻きあげ、まだ眠そうにあくびをしている仁をみのるはニコニコしながら見ていた。
(案外かわいいかも……。)
性格の良さそうなタレ目に綺麗な茶髪、背は高くて少しひょろっとしているけど時折見せる凛々しい顔は同年代の男の子を感じさせる。
「おはよう仁くん」
みのるの厳しそうな顔付きも緩み、月の光を受けて綺麗に光る髪の毛が外からの風でたなびき仁は思わず見惚れてしまう。ポケーっとしている仁にみのるは「大丈夫?」と声を掛けるが、仁にはそれも届いていないようだった。
──翌日
二人は休暇だったので、お互いについて話すことにした。最初に知ったのは、二人とも研究所で暮らしているということだった。家から研究所までが遠い人や、帰る場所が無い研究員のほとんどが研究所の部屋を借りていて、部屋代や生活費は全て『ハッピー・ライフ』が負担してくれている。みのるは、家から遠いため、大会後すぐに自室へ引越した。仁は元々、研究所が所有しているマンションで暮らしていたため、今は部屋を借りている。そして、偶然にも部屋が隣同士だった。二人は、「じゃあすぐ会えるね」なんていうリア充っぽい会話も冗談で言えるくらいに打ち解けることができた。
「そういえば!みのるさんって何歳?」
仁は昼食の『特製オムライス』を口に運びながら問いかけた。お昼も話そうという流れから、みのるが折角だから、と二人分作った昼食である。
「13歳、中二だよ。」
ていうかお行儀悪いよ!と食べながら問いかけてくる仁に注意する。仁は、ご飯粒を口の周りに付けたまま、
「俺も中二だよ。」
と笑った。昨日の暗い雰囲気とは打って変わって、楽しい話題にみのるもつられてフフッと笑った。
