―――何が起きたのか。


覚えてないなんて言えるはずがない。


完っ全に油断した。
熟睡してしまった。


何も覚えていない。
抱かれたのだろうか、竹下くんに。


だとしたらもう、松嶋さんがどうこう言う資格はない。


「……どうしました?」


はっ、と我に返る。
目の前に、松嶋さんの顔がある。


胸が痛む。
張り裂けそうだ。


「……ごめんなさ……っ」


一筋の涙が頬を伝った。
その涙を手でそっと拭き取ると、


「……嫌いに、ならないでください」


耳元で囁かれた。


―――ああ、
どうにかなってしまいそうだ。