「菜々元さん、この本あるかな」

「な、なんでしょう…」


妙におどおどしながら。


そして松嶋さんがスマートフォンを見せようとした。


台車が通りかかったので避けようと松嶋さんに近付いたところに、台車から書物が滑り落ち足を引っ掛けてしまった。


「…えっ…?」


タイミングよく、脇の書物運搬用のエレベーターが開いた。


恐らく台車から移すために呼んだのだろう。


書物運搬用のエレベーターの中は人の背丈ほどもない。


中に向かって私が押し倒す形になってしまった。


扉が開いた時点で荷物が少しありクッションになったのがよかったのかどうなのか。


狭い空間で押し倒した瞬間、扉が閉まり電気が落ち、真っ暗になってしまった。