國比呂少年怪異譚・第二夜

Aがようやく上り切ろうかというその時、俺とBの視線はそこになかった。

ガタガタと震え、体中から汗が噴き出し、声を出せなくなった。

それに気付いたAも、柵の上から俺達が見ている方向を見た。

山への方角にずらっと続く柵を伝った先、しかもこっち側に『あいつ』が張りついていた。

…顔だけかと思ったそれは、裸で上半身のみ、右腕左腕が3本ずつあった。

それらで器用に綱と有刺鉄線を掴んで、い~っと口を開けたまま、巣を渡る蜘蛛のようにこちらへ向かってきていた。

とてつもない恐怖!

「うわぁぁぁぁ!」