國比呂少年怪異譚・第二夜

言いながら、無意識に照らされた先を見た。

Bの懐中電灯は、立ち並ぶ木々の中の1本、その根元の辺りを照らしていた。

その陰から、女の顔がこちらを覗いていた。

ひょこっと顔半分だけ出して、眩しがる様子もなく俺達を眺めていた。

上下の歯を剥き出しにするように、い~っと口を開け、目は据わっていた。

「うわぁぁぁぁぁ!」

誰のものかわからない悲鳴と同時に、俺達は一斉に振り返り走った。

頭は真っ白で、体が勝手に最善の行動をとったような感じだった。

互いを見合わす余裕もなく、それぞれが必死で柵へ向かった。

柵が見えると一気に飛び掛かり、急いで攀じ登る。

上まで来たらまた一気に飛び降り、すぐに入り口へ戻ろうとした。

だが混乱しているのか、Aが上手く柵を上れず、なかなかこっちに来ない。

「A!早く!」

「おい!早くしろ!」

Aを待ちながら、俺とBはどうすりゃいいかわからなかった。

「何だよあれ!何なんだよ!」

「知らねえよ黙れ!」

完全にパニック状態だった。