國比呂少年怪異譚・第二夜

この辺りには『八尺様』という厄介なものがいる。

八尺様は大きな女の姿をしている。

名前の通り八尺ほどの背丈があり、「ぽぽぽぽ」と男のような声で、変な笑い方をする。

人によって、喪服を着た若い女だったり、留袖の老婆だったり、野良着姿の年増だったりと見え方が違うが、女性で異常に背が高い事と頭に何か載せている事、それに気味悪い笑い声は共通している。

昔、旅人に憑いて来たという噂もあるが、定かではない。

これは後から聞いた話ではあるが、八尺様は地蔵によって封印されているらしい。

理由は分からないが、八尺様がよそへ移動できる道というのは限られていて、その道の村境に地蔵を祀ったそうだ。

八尺様の移動を防ぐ為だが、それは東西南北の境界に全部で4ヶ所あるらしい。

尤も、何でそんなものを留めておく事になったかというと、周辺の村と何らかの協定があったらしい。

例えば水利権を優先するとか。

八尺様の被害は数年から十数年に一度くらいなので、昔の人はそこそこ有利な協定を結べれば良しと思ったのだろうか。