年に一度のお盆にしか訪れる事のない祖母の家に着いた僕は、早速大はしゃぎで兄と外に遊びに行った。

都会とは違い、空気が断然うまい。

僕は、爽やかな風を浴びながら、兄と田んぼの周りを駆け回った。

日が昇りきり、真昼に差し掛かった頃、ピタリと風か止んだ。

と思ったら、気持ち悪いぐらいの生温い風が吹いてきた。

僕は、「ただでさえ暑いのに、何でこんな生温かい風が吹いてくるんだよ!」と、さっきの爽快感を奪われた事で少し機嫌悪そうに言い放った。

…兄は、さっきから別な方向を見ている。

その方向には案山子がある。

「あの案山子がどうしたの?」

兄に訊く。