國比呂少年怪異譚・第二夜

夜中に目が覚めると、男の顔が目の前にある事がよくありました。

そんな時は必ず目が開いていて、私を見ているのですが私を見ていない、そんな感じでこっちを見つめていました。

それがイヤで私は目を逸らそうとするのですが、体を乗っ取られているので自由が効かないのです。

しばらくヒサユキの顔を見せられてから、私の体は冷蔵庫の方へ向かいます。

毎回そうでした。

冷蔵庫の中からハムや卵や干物なんかを取り出して、それをそのまま食べます。

卵も生のままで、見ているとすごく気持ちが悪いのですが、美味しいという気持ちが湧いてくるのです。

味は変わらないのに美味しいと思ってしまうのです。

私はそれがすごく怖ろしく感じました。

体が別の物になっているような、操られているというより、自分の体が別のものになって、私の意識がどんどん小さくなっていく感じ。

上手く表現出来ませんが、体の端の方から別の生き物(獣)になっていくような感じです。

最初は夜だけだったのですが、だんだん昼にもその感覚が出てくるようになってきました。

冷蔵庫の中の物を食べた私は、ヒサユキの所にも同じ物を持っていきます。

それを目の前に置いても男はピクリとも動かないのですが、朝になると卵の殻やビニールの包装なんかが目の前に転がっていました。