キミだけに届けたいもの






「ご馳走さま」

「ご馳走さまでした。もうお腹いっぱいデス……」


本当、お腹いっぱい。

優風くんのせいで……


「美味しかった。流石良兎ちゃんのお母さんだね」


「さ、流石!?食べたことあるの!?」


「あー、うん。ある」


「そうだったんだ~、なんか嬉しい!」


「……そ、じゃあ行こ」


また素っ気ない。

けど、美味しいって言ってくれた!


私が作ったわけじゃないけどね






___





教室に戻り、


「悠香ただいま~」


「おかえり。……良兎、顔ニヤけてるけどどーしたの?」


いきなりこんなことを言われた。


「はっ!?私、ニヤけてる!?」


「嬉しそうで何よりだけど、他の人が見たら引く顔だったよ」


「え、そんなに、酷い顔でした…?」


「酷かったね」


そんな、

は、恥ずかしい……


「後輩くんと何かあったの~??」


わざとらしく聞いてくるとか、酷いよ悠香……


「……えっと、お弁当食べてきたよ」


「それはわかってるから。何かあったのって聞いてんのー」


「いや、お母さんの手作りお弁当を食べて美味しいって言ってくれた、だけ」


「へぇ~、よかったね」



興味がないことがすっごい伝わってくるんだけど、その返事……


「うん、嬉しかった」


「良兎が嬉しいならいっか」



「ん?何か言った?」


「いや、別に~」


変な悠香。