「急にどーしたの!?優風くん??」
「いーや、お腹いっぱい」
「ちょ、ちょっと!意味わかんないよ!」
「は?お腹いっぱいって言ったの」
「だ、だから!お母さんのお弁当が??」
「ホントに、何でもないよ?」
もう、本当わかんない。
お母さんのお弁当が何だ?
美味しいよ?
“へぇ~…………”
優風くんがそう言ったあとの言葉が
うまく聞き取れなかった。
私、いっつも肝心なところ聞き取れないなぁ
もしかして、食べたいのかな?
いや、違うか。
「よし、食べ終わったから、戻ろ」
優風くんの声でハッとして
顔を見上げる。
「え!?もう食べ終わったの!?」
「うん。パン一個だけだし」
「私まだ食べ終わってないよ!」
「はーやーくーらうちゃーん」
「ちょっと待ってよ!」
急かす優風くん。
「しょーがないねー、食べるの手伝う?」
「は!?」
「俺も食べたい」
た、食べたいの!?
「あ、いいけど、」
そういったときにはもう既に
卵焼きを手づかみでパクッと食べていた優風くん。
「あ!卵焼き!最後にとっておいたのに!」
「早く食べないからだよ」
「もー、…………はい?」
少し怒ったふりをし、ミニハンバーグを箸で取ろうとした。
「あーん」
そのとき、優風くんが口を開けて
そんなことを言う。
「え、?食べさせろ、と?」
コクコクっとうなずき、
まだぁ?
と、猫かぶり優風くんで言ってくる。
「え、ハンバーグ、?」
「いいから、早く」
ええ!?
た、食べさせるの!?
「………え、えっと、は、はい、っ」
箸でハンバーグを掴み、
優風くんの開けている口に運ぶ。
口の手前でパクッと食べ、
私の箸……と、
か、関節キス……
っていうやつ?
「うまい」
「よ、よかったデス……」
恥ずかしさで顔が赤くなったのがわかった。
「なに?また恥ずかしいの?」
「な、そ、そーだよ……!」
「ははっ、真っ赤じゃん」
カアアアア
私、
優風くんといるといつか倒れるね。
いや、今も倒れそう……
