キミだけに届けたいもの









一学年の階を全て見てみたが、


二人らしき姿は何処にもない。



どこ?

優風くん…



諦めて今日に戻ることにした。



「あ、良兎!」


「ああ、ただいま、悠香」


悠香が駆け寄って言った。


「さっき後輩くん来たんだけど?」


「え!うそ!?来てたの!?」


「……なんか、変な女の子といたけど」


……!!


金澤さん、か。


「あ、そっか。じゃあ、悠香一緒に食べよ?」


「はぁ?なんでよ?」


「え!?私と…嫌だった?」


「そーじゃなくて、できることなら良兎と食べたいけど、あんたがそーじゃないでしょ?」

「いや、そんなことは……」

「まあいいから。屋上で後輩くん待ってるよ」


「え?屋上に行ってるの!?」

「5分くらい前から」



な、なんだと!?


私、怒られる……


「あ、ありがとう!悠香!」

行ってくると言い、瞬く間に全速力で走り出した私。

悠香、私のこと忙しい人だなとか思ってるよね


なんか、すごい

優風くんに振り回させてる感じ……


だって、優風くんのことでこんなに校舎内をいっぱい走り回ってさ。


優風くんのことになると、




変だな。







全速力で走って約1分。

屋上に着き、扉を開く。