キミだけに届けたいもの





すると、


バスルームへの戸を開けるのに、ドアノブに手をかけようとした優風くんが振り返った。

その瞬間バチッと目が合う。

「また見てる」


優風くんにそう言われ、一気に顔に熱を帯びるのがわかった。

わ、私

またガン見……!

これ、無意識だよ……


「あ、ごめんなさい…!」

私、謝ることしかできないのかな?



「……そんなに好き?」




……!?






す、好き!?


あ、あれ?


好きって、

好意を持つ感情のことだよね?

何故そんな言葉を、今優風くんが?



「…期待させんなよ……」




「えっ?」



「…………ちゃんと、頭乾かしてね」


それだけ言ってバスルームへ行ってしまった。


“ちゃんと、頭乾かしてね”は聞こえたけど

その前

なんて、言ったの?




全然聞こえなかった、

けど、

また切ない顔だった。