キミだけに届けたいもの





「ん、じゃあ良兎ちゃん、」


そう言って何故か顔を近づけてくる。


「な、ナンデショウ?」


「ご飯、食べたいんだよね?」


「え?」

ご飯?


「食べたいんでしょ?」


「な、なんで急に?」


「お腹空かないの?」


「あ、空いてる、ね」


「そうだよね。寝言でご飯~って言っちゃうくらいだもんね」

「う、うそ!?寝言言ってた?」

「思いっきりね」

「うそ……」

「起こしてんのにご飯しか言わないの」

「ご、ごめんなさい」


私、寝言言ってたんだ……

恥ずかしい……

ご飯って、

私、すごいお腹すいてる人みたいじゃん!

……まあ、そう思われたから

原代くんにこんなこと言われたんだと思うけど…


「俺作るから、ゆっくりしてて」


「は、はい?」


俺作る??

「俺、作るから」

「原代くん、料理するの?」

「一人暮らしなのに料理しなくてどーすんの?」

一人暮らし!?

「え!?ご、ご両親いないの!?」

「ここには住んでない」

「だから物が少ないの?」

「……まあ、そーだね」


そーだったんだ!

すごいなぁ

一人暮らしをして、料理ができる男の子。

もう、本当に完璧だ、原代くん。