キミだけに届けたいもの






「……うん、」


「ですよね」


キラッキラの原代くんスマイル。


かっこいい、

けど、どこか

黒い。

いや、今は全部が黒く見える……


「じゃあ、ねえ、」


ゴクリ……


「俺勅先輩のこと良兎って呼ぶから、」


え!?


もうそれ決定ですか!?


もう、勝手すぎる……



「俺のこと下の名前で呼んで」




……

最も勝手なことが

この後に待ってました。



……下の名前だと?


私が!?


そんなの、


恥ずかしいに決まってるでしょ!?


「ね?良兎先輩?」

早速呼んじゃってる……

(先程から呼んでる気がするけど……)


「……~っ、」

「良兎、ちゃん?がいい?」


いや!!

いやだよ!ほんとに!!

あなた後輩だし!!

「……先輩、付けるのが普通でしょ?」


「でも呼びやすい」


呼びやすさの問題ですか!?


「呼びやすいって……私は呼びずらいから、原代くんじゃ、ダメ?」


「……だめ。良兎ちゃんは俺の下の名前で呼ぶ」

「えぇ……」

「俺の言うこと聞かない気?」

「……もし、聞かなかったら?」

「みんなの前で辱める」


ええ、え、

「みんな?みんなって?」

「学校?」

「や、やだよ!!」

「じゃあ大人しく言うこと聞いたら?」


この人、

やっぱり怖い人だ。


「……わかった」


「うん、呼んで」


「……優風くん」


「うん」


「……呼んだよ?」


「もっかい」


「ええ!?」


「練習、」


必要ないよ!!

でも、とても怖いので。


「……優風、くん」


「うん、何?」


「え、呼んでって…」

言われたから!


「うん。あ、良兎ちゃんのお母さん着替え届けてくれるって」


き、着替え……

それって

私の、その、アレとか?


「わああ、はい!わかった!」


恥ずかしいよ!着替えなんて!

まあ、お母さん、わざわざありがとう。