キミだけに届けたいもの






「勅先輩、今日うちに泊まってね」


原代くんが私のいる部屋に来て、とびきりの笑顔でそう言った。



え?


「ちょっと!原代くん!お母さんに電話したの!?」


「え?そーだけど」


「お母さんだよ!?何で電話番号知ってるの!?怒ってたよね!?急に男の子の家にお泊まりだなんて!?ね!?」


焦り過ぎていっぺんに言ってしまった。



「……」


案の定、原代くんはあんぐりと口を開けている。


「ご、ごめん、なさい……」


これは本当に謝るしかないよ……


ごめんなさい原代くん。




「心配なのはわかってるから。」


「えっ、」


「落ち着いて、話すから、勅先輩も落ち着いて」


聞いたこともない優しい口調で言ってくれた原代くん。


「う、うん」


何故かわからないけど

落ち着く声。



「勅先輩、俺は今あなたのお母さんに電話しました。」


「うん、」

「電話番号はクラスの連絡網を、見た」

「う、うん」



「……実を言うとね、俺の母さんと勅先輩のお母さん、知り合いなんだよね」


「うん、……え?」


「知り合い」


「え!?そーなの!?」


「そーだよ」


は、初知りだよ!

「そーだったんだ。なんか、すごい安心した」

知り合いだったとはね

お母さん話してくれたっていいのに!

「そ。で、勅先輩のお母さんお泊まり喜んでいいよだって」

あ、

知り合いの息子さんだもの

あのお母さんなら喜んで承諾するよ……

「は、はい。落ち着いて聞くことができました。」

「うん。ということで、理解はできた?」

原代くんがバカにした表情で聞いてくる。


むぅっ……!

「できたもん!ちゃんと!」

ちょっとムカついたので

強気で言ってやりました。