キミだけに届けたいもの





目が覚めたとき、


「……ん、痛っ」


腕に変な痛みを感じ、


視線をそっちにやる。


「ら、勅先輩…」


そこには、勅先輩。


そして俺の手を思いっきり掴んでいる。


痛み、これか。

変な痛みの正体が勅先輩だとわかり、

少し恥ずかしくなる。


なんで、掴んでんの……


それに、

一緒に、寝てたのか…


そう思うと少し、いや

かなり嬉しくなる。


こんなことで舞い上がるとか、

馬鹿だな。



ふと時計に目をやると、


え、7時じゃん……


時刻は午後7時。かなり遅い時間だ。

連絡とか、してない、よな?



やば、


ってか、何やってんの、勅先輩……




自分の身体を起こし、


「勅先輩、起きて」


勅先輩を起こす。


「え、ご飯……?」


うわ、

寝ぼけてるし。


「ちがう、起きろ」


強い口調で言うと


「は、はい!!?」


と言って身体を思いきり起こす。


やっと起きたか。

と思いきや、

「ご飯、だー……」


と言って後ろに倒れた。


……


そんなにご飯好き?


勅先輩の相変わらずの姿に思わず笑ってしまう。


「いや、だから、ご飯じゃない」


ほんっと、

相変わらずすぎ。



……昔と、そんな変わってないじゃん




そんなことを思った。