原代くん、不意打ちはダメだよ……
原代くんの綺麗な寝顔を見ながら思う。
……ゆっくり、ちゃんと寝てね。
そして数分間、私は原代くんの寝顔を見つめていた。
「…らう、ちゃん……」
え?
原代くんが寝言を言った。
らう、ちゃん?
私?
原代くんが私の下の名前を呼んだ。
おそらく、私。
珍しいって言われる名前だから。
「原代、くん?」
思わず小さな声で原代くんを呼ぶ。
「…わすれて、ほしく、なかった、な……」
え、?
原代くん……!?
そして、閉じた目からは
つーっと、涙が流れた。
な、なんで泣いて……!?
わすれてほしくなかったって??
私、
やっぱり何か忘れてるの!?
原代くん、私も、知ってる?
今までも
何度も疑問に思ったことだが、
寝言とはいえ、原代くんが口にしたこと。
“らう、ちゃん”
“わすれて、ほしく、なかった、な……”
やっぱり、知ってる?
……わかんない。
私、わかんないよ……
話してくれなきゃ、
わかるわけないよ、原代くん。
「はら、しろく、ん……」
眠っている彼には聞こえないけど、
「私、」
