キミだけに届けたいもの






「わ、私、本当に盗み聞きするつもりは全くなかったんだよ……!」


「盗み聞きありえなーい」


「ち、違うって!!原代くんいつ来るかなーて思って廊下に出てみたら話し声が聞こえたから…」


「ふーん」


「本当だよ!!!???」


「そ」


原代くん信じてる!!??


「信じてないでしょ!!??」



「もうこの話どーでもいいから、帰ろ」


「う、わ、わかった…」



……原代くん、


なんか疲れてる…?


顔がすごくぐったりしてる


ちゃんと休めてないのかな?


大丈夫、かな?



「……ねぇ、勅先輩」


「え!あ、はい?」


「……眠い」


「ね、眠い?」


「うん……」


やっぱり、ちゃんと休めてないんだ…!

「家でちゃんと寝てないの?」


「まあ、最近は2時間くらい」


「は、はいっ!?!?」

びっくりしすぎて変な声が出てしまった。


「何その声、変だよ」


「し、失礼な!って!大丈夫!じゃないよね!?」

「大丈夫、じゃないね」

「だよね!?何でそんな睡眠時間短いの!?」

「……」


「何か言ってよ!」


「……いろいろあって」


あ、これ以上聞いちゃだめかも


「そ、うなんだ…」



「うん……心配して、くれてるの?」


「心配に決まってるじゃん!」


「……そ、っか」


「本当に大丈夫?」


「大丈夫じゃないってさっき言った」


「あ、そうだった。ど、どーする?」


「家で、休む」


「うんうん、そうしなさい!」


「でも、勅先輩送るから」


「こんな状態で心配されても、私が困るよ!ちゃんと自分の心配もしなさいよ!」


あ、先輩だからいいかもしれないけど、

初めて強い口調で言ってしまった。


案の定、原代くんは驚いた顔。

「……わかった、だけど」

「うん」


「ちゃんと、気をつけて歩いてよ?」

「私は大丈夫だよ!原代くんの方が心配だよ!」

「ありがと、俺は眠いだけだから」

「う、うん、じゃあね、気をつけてよ!!」

「うん…」