キミだけに届けたいもの





「僕、今先輩と帰る約束があるので」

「今の返事にこたえてほしいだけです、お、お願いします…!」


女の子と、原代くん!?

原代くんは多分私と帰るからあんなこと言ってるんだ。

だけど、女の子は……

「ごめんね、僕好きな人いるから。」


え、


「……わ、私本当に原代くんが好きなんです!」


「気持ちは嬉しいよ、だけど本当に…」

原代くんがそう言ったのと同時に

女の子が原代くんに抱きついた。


……うそ!?


「私、中学生のときからずっと好きなのに!もう諦めるなんてことできないんです!」


中学生からずっと片思い……?


原代くん、どうするの、かな……?


「草野さん、離して貰わないと困ります。」

「いや!私と付き合うって、好きって言ってくれるまで離さない!」


あわわ、ど、どうしよう!

原代くんが困ってるよ…!

でも草野さん?ていう女の子も大好きなんだよね原代くんのこと…


と、そのとき


ブー、ブー、ブー

私の鞄の中にあるスマホがなってしまった。

や、やばい!



この音気づかれないわけ、


ないよね……



2人は驚いた顔でこちらを見ている。


「勅先輩っ……」


原代くんが私の名前を呼ぶ、と同時に

草野さんから慌ててバッ!と離れた。


「ご、ごめんなさい!盗み聞きするつもりは全くなかったんです…!」

私がそう言うと原代くんが私の腕を掴み、

昇降口まで走り出した。


ちょ、ちょっと!


原代くん!!


昇降口に着くと原代くんは私の腕から手を離した。

「な、何してるの!原代くん!!」


「は、?何が、」


「草野さん、?置いて来ちゃったじゃん!」


「いいんだよ、あんな人」


ええ!?

「何でそんなこと言うの!?」


「俺あの人から数えきれないほど告られてる」


「え!?そんなに告白してる人だったの!?」

「うん」

「で、でも、大丈夫なの?」

「逆に助かった、見られたのは最悪だけど……」