「勅、先輩」
静かに呟く原代くん。
約束は、一緒にいることだったね
「じゃあ、私行くね」
「あ、うん、じゃあまた明日」
悠香にバイバイと言って教室を出た。
「原代、くん」
「一緒に、帰りたい」
「あ、うん。約束だもんね、一緒にいること」
そうして昇降口まで行き、校舎を出た。
「ら……勅先輩、家ちょっと遠いよね?」
「あ、そうだね、少し歩くよ」
じゃあ大丈夫か……なんて声がしたけど、
私の家も知ってるの?
まさか、ね
なんて思ったが……
私は何も言わなかったけど、
私の家まで送ってくれた原代くん。
何故知っているのですか?
それに、“ら……勅先輩”って、
確実に良兎って言おうとしたよね?
……わからない
もう、原代くんには何でっていう疑問しかないよ…
「じゃあ、勅先輩さよーなら。また明日学校でね」
そう言って今来た道を戻って行く原代くん。
「え!原代くんちょっと、」
今来た道を戻っていく原代くんを見て思わず呼び止めてしまった。
振り返って少し驚く原代くん。
「どーしたの??」
ど、どーしたの?って……
「い、家、こっちじゃないの?」
原代くんの表情が固まった。
「……え」
