気がついた時には布団に寝かされ、古賀くんが怒りとも呆れとも似つかない表情で私の顔を覗き込んでいた。

「バーカ」

「ごめんなさい……」

「のぼせるまで温泉に入るなんて、サル以下の知能しかないのかお前は」

返す言葉もございません……。

いつもの罵声すら今は温かく聞こえるから不思議だ。

倒れた時のことはうっすらと覚えている。

脱衣所でぐったりしていたら、誰かがホテルの人を呼んでくれて……。

大浴場の外にいた古賀くんがすぐにやって来て、私を抱き上げ部屋まで連れてきてくれたのよね。

「すっごく迷惑かけたよね……」

「あったりまえだ!!」

「ホントにごめんね……」

「謝んなよ、余計にイライラするだろ」

古賀くんは不機嫌そうに言うと、冷蔵庫から水を取り出しコップに注いでくれた。

「ほら、これでも飲んどけ」

「ありがと」

「別に……大したことねーよ」

ひんやりとした水がのぼせた身体を徐々に冷やしていく。

絶え間なく優しい風が吹いてくるなと思ったら、その出所が古賀くんだと分かった時にはクスクスと笑みが零れた。