「木橋、お前は今すぐ帰れ」

これ以上の爆弾発言を避けるためか古賀くんは茶封筒を持たせて、木橋さんを無理やり会社への外に送り出した。

そして、恐る恐る私の顔色を窺いにかかるのだった。

「……さくら?」

「用も済んだし私も帰る」

ご機嫌を窺うような態度に無性に腹が立って、ふいっと目を逸らす。

(キャバクラなんて行く暇あるんだ……)

少しでも力になれればと思っていただけに裏切られたような気がした。

キャバクラ。ふ~ん。そうですか。そうですか。

置き去りにするように早足になって駅まで歩き出すと、古賀くんは後ろを追いかけてくる。

「あれは結婚前の話だ……!!」

「わざわざ私に弁解する必要はないんじゃない?結婚前の話なら今更でしょ」

別に好き合って夫婦になったわけじゃあるまいし、過去のことをとやかく言うつもりはないのだが……

ただちょっと……面白くないだけだ。