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「そういえば、マコちゃんとは仲良くなれたんですか?」

「え?」

ニコニコと楽しそうに尋ねてくる仁美ちゃんを見て、キーボードを打つ手を止める。

“マコちゃん”という単語を聞いて、古賀くんを犬に見立てて話をしたことを慌てて思い出す。

「マコちゃん?」

なになに?何の話?と、真彩さんが聞き耳を立ててくる。

「犬の話ですよ!!青山さんのワンちゃんです!!」

「青山さん、犬飼い始めたんだ?」

「あ、はい……。実はそうなんです……」

ああっ。仁美ちゃん以外の人にも嘘がどんどん広まっていく。

「写真とかないの?」

「すみません。今度撮ってきますね……」

古賀くんはお世辞にも、忠犬とは言えない。

あの古賀くんが写真なんて簡単に撮らせてくれるはずないし、もし撮れたとしても絶対に見せられない。

「写真と言えば!!これ、見てください!!」

「うわあ!!可愛い!!」

仁美ちゃんが携帯の画面を操って見せてくれたのは、可愛いらしくおめかししたプードルの写真だった。

「この間、友達が結婚したんですけど、新郎新婦とお揃いの衣装で登場したんです!!超可愛くないですか!?」

タキシードにバラを1本口に咥え、ドヤっとポーズを決めている様は何とも愛くるしい。

これぐらいの可愛げが古賀くんもあれば私も苦労しないんだけどな……。