「私、古賀くんのこともっと応援するっ！！」

私は気合を入れるように片手を上げて、決意を表明した。

「……は？」

「おじいさんに認めてもらうには、私の協力だって必要でしょ？」

すでに共犯者として計画の片棒を担いでいる身としては……毒を食らわば皿までの精神である。

古賀くんには立派な後継者になってもらって、何が何でもおじいさんの後を継いでもらわなくっちゃ。

「温かい飲み物でも淹れてくるね。コーヒーでいいかな？」

早速役割に励もうとキッチンに向かおうドアノブに手を掛けると、背後から手が伸びてきて扉が押さえつけられた。

「さくら」

名前を呼ばれて振り返るともう、古賀くんの広い腕の中に包み込まれていた。

「こ、がくん……？」

「無理に何かをやろうとしなくてもいい」

ぎゅうっと抱き寄せられると、苦しさよりも先に古賀くんの身体の熱を感じた。

「お前が傍にいてくれれば俺はそれだけで……」

吐息混じりに囁かれると耳が熱くなる。古賀くんが傍にいるといつもこうなってしまう。

（それだけで……何？）

続きが聞かせて欲しかったのに、それきり彼は口を噤んでしまった。

「……何でもない。コーヒーは要らないから、早く寝ろよ」

古賀くんは私を放すと急に素っ気なくなり、何事もなかったかのように再びデスクに向かい出したのだった。