「……夫って?」

「見合いに来たってことは結婚相手が欲しいんだろう?」

「えっ!?」

かすみの代わりに来ただけで結婚するつもりは毛頭ないと否定する間もなく、腰元に手を当てられ近くまで引き寄せられる。

(ち、近い!!)

今にもキスが出来そうなほどの至近距離に古賀くんの顔が迫っているではないか。

詰められた距離の分だけ、のけぞって避けてみても気休め程度にしかない。

青筋立てながらおっかなびっくり見つめ返すと、あの意地悪な瞳で射抜かれる。

「俺と……結婚しろよ」

(う……そ……)

古賀くんの衝撃のプロポーズの前に逃げ場などどこにも用意されていなかった。