「私……本当に市村くんとは何にもないんだけど……」

「あってたまるかよ!!」

古賀くんに勝手に目の敵にされている市村くんが今回の騒動の一番の被害者だと思う……。

「古賀くん……もしかして知らないの?」

同窓会で揉めたあたりで、どうもおかしいなと思っていたのだ。古賀くんと私に温度差がありすぎる。

「しいちゃんと市村くん、同棲してるのよ?」

「は……?」

「同じ病院で働いてるんですって」

就職先が同じ病院だったのは本当に偶然だったみたいだけど、互いに恋に落ちたのは必然だったみたい。

「みんなそれが分かっていて、あえて昔のことを持ち出してからかって遊んでただけなのよ?」

「どいつもこいつも……」

気に食わない奴ばかりだと悔しそうに吐き捨てると、古賀くんはいじけるように私から背を向けた。

どうやら私はすっかり彼の機嫌を損ねてしまったらしい。