「俺、美人だって評判の妹の方が来るって聞いてたんだけど?」

……悪かったわね。微妙な姉で。

遠回しに嫌味を言っているのである。

「かすみは……妹は別の方と結婚することになったの。残念だったね」

双葉くんは古賀くんよりよっぽど良い人なんだから。

「ほう?生意気言うようになったじゃねえか」

妹の名誉のために反論しただけで、グイと顎を持ち上げられガンをつけられる。

(こ、怖くないもん……!!)

それでも怯まず睨み返していると、古賀くんは先ほどとは打って変わってふっと不敵な笑みを浮かべた。

「これから夫になる男のご機嫌でもとってみたらどうなんだ?お前が俺に尽くすというなら優しくしてやらないこともない」

古賀くんは顎を持ち上げた指をそのまま滑らせ、恋人をからかうように後れ毛を指に絡めてクルクルと弄んだ。

……一瞬言っていることが分からなくて、思考が停止する。

さあっと血の気が引いていって、もはや卒倒しそうだ。