「古賀くんは私を……騙してたの?」

彼を責めるのは間違っている。

私だって最初は直ぐに離婚するつもりでいたのだ。お互い様だ。

そう思っているのに責めることをやめられない。

「本当に子供がいたらどうする気だったの?」

もし子供がいたら、危うく私達の身勝手に付き合わされるところだった。

「今は……とにかく休めよ……」

古賀くんはそう言ってお茶を濁すと、私と会話するのを避けるように病室から出て行ってしまった。

「お姉ちゃん、どうしたの?古賀さん出てっちゃったみたいだけど……」

古賀くんと入れ替わりにやってきたかすみが、泣き崩れる私を見てぎょっとしている。

(……もう、お終いなんだ)

偽りの夫婦生活は終わり。

これからは赤の他人として生きていく他ないんだ……。