「青山さくらさん……。ああ!!はい、青山さんの名前で登録されていますね」

職員さんも見つかって安堵したのか、眼鏡のレンズをきゅきゅっとハンカチで拭った。

婚姻届は半年以上も前に出しているはずなのに……。

変更が反映されていないってこと?

ますます謎は深まるばかりである。

「あのう……。旧姓のままっていうのはどういうことなんでしょうか?婚姻届は確かに半年以上前に受け付けてもらったはずですけど……」

役所の手続きミス?

どうして私は“古賀”ではなく、“青山”のままなの?

「婚姻届のご提出はおひとりで行ったのですか?」

「いいえ、夫と一緒に……」

「受付後も内容に不備が見つかった場合は受理できずに婚姻届を返却することがありますから……一度お相手の方にご確認頂いた方がよろしいかと」

職員さんはそう言うと、ようやく見つかった住民票の写しを封筒に入れて渡してきた。