「お前は俺のことなんて、大嫌いかもしれないけど……」

それでも、彼は続ける。

「俺は……お前と結婚して良かったと思ってる」

……頑なになった私の心を溶かすのは自分の役割だと思っているからだ。

(私は……)

彼の本心を聞くと急に何かに縋りたくなって、皺が出来てしまいそうなほど強く彼のワイシャツを握りしめる。

「さくら?」

やだ……何で、私……泣いてるんだろう……。

離婚を言い渡されないでホッとしたせい?

それとも謝られたおかげで、あの頃の気持ちが報われた気がするから?

「っ……泣くなよ……!!」

ボロボロと涙を零し始めた私を前にして、古賀くんはオロオロと挙動不審になり参ったとばかりにうなだれた。

「お前に泣かれると弱いんだよ、俺は昔から……」

“あいつのことが好きなの?”

“じゃあ嫌い?”

しいちゃんが出した二択の答えにようやく今、辿り着いた。

これ以上、わからない振りを続けることは出来ない。

私、彼のことが……。

古賀くんのことが好きなんだ。